自賠責保険の支払基準

自賠責保険の支払基準は、以下のように損害別に定められています。

  • 傷害(ケガ)による損害
  • 後遺障害による損害
  • 死亡による損害

傷害(ケガ)による損害の支払基準

限度額は120万円となります。

費目 内容 支払基準
治療関係費 応急手当費、診察料、入院料、投薬料、手術料、処置料等 必要かつ妥当な実費
看護料 <入院中の看護料>
12歳以下の子供に近親者が付き添った場合
1日につき4,100円
<自宅看護料又は通院看護料>
12歳以下の子供に近親者が付き添った場合
医師が看護の必要性を認めた場合
必要かつ妥当な実費
(近親者の場合、1日につき2,050円)
通院等交通費 通院・転院・入院・退院に要した交通費 必要かつ妥当な実費
諸雑費 入院中の諸雑費 入院1日につき、1,100円
義肢等の費用 義肢、歯科補てつ、義眼、眼鏡、補聴器、松葉杖等の費用 医師が認めた必要かつ妥当な実費
診断書等の費用 診断書、診療報酬明細書等の発行費用 必要かつ妥当な実費
文書料 交通事故証明書、印鑑証明書等の費用 必要かつ妥当な実費
休業損害 事故による傷害のための休業による収入の減少 1日につき5,700円~19,000円
慰謝料 精神的・肉体的な苦痛に対する損害賠償 入通院1日につき4200円
(<実治療日数×2>と<治療期間>のどちらか少ない方で計算)

後遺障害による損害の支払基準

限度額は等級によります。

後遺障害による損害は、逸失利益慰謝料とされています。

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害による労働能力の低下のために、将来にわたって発生する収入の減少のことを言います。

逸失利益の計算式は、
【基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数】
となります。

※「ライプニッツ係数」とは、将来の分を含めて、一度にまとめて損害賠償金を受け取ることにより発生する利息分(法定利息5%)を差し引いた係数のことを言います。

基礎収入額

基礎収入額とは、逸失利益の計算の基礎となる年収額のことを言います。

自賠責保険における基礎収入の基準は以下のとおりです。

有職者

●原則・・・事故前一年間の収入額と賃金センサス年齢別平均年収額のいずれか高い額

※賃金センサスとは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査のことで、性別、年齢別、学歴別の年収額の目安として用います。

①35歳未満であって、事故前1年間の収入を立証できる者
・・・年収額か、賃金センサスの全年齢平均年収額か、年齢別年収額のいずれか高い額

②事故前1年間の収入額立証が困難な者
・・・35歳未満の場合、賃金センサスの全年齢平均年収額か、年齢別年収額のいずれか高い額
・・・35歳以上の場合、賃金センサスの年齢別年収額

③退職後一年を経過していない失業者(定年退職者等を除く)
・・・上記の基準を準用(「退職前1年間の収入額」を基本とする)

幼児・児童・生徒・学生・家事従事者

賃金センサスの全年齢平均年収額。
但し、58歳以上の者で年齢別平均年収額が全年齢平均年収額を下回る場合、年齢別平均年収額

その他働く意思と能力を有する者

賃金センサスの年齢別平均年収額。
但し、全年齢平均年収額を上限とする。

労働能力喪失率

労働能力喪失率は、保険金額・慰謝料と共に等級によって定められています。

等級 保険金額 慰謝料 労働能力喪失率
介護1級 4,000万円 1,600万円 100%
介護1級 3,000万円 1,163万円 100%
第1級 3,000万円 1,100万円 100%
第2級 2,590万円 958万円 100%
第3級 2,219万円 829万円 100%
第4級 1,889万円 712万円 92%
第5級 1,574万円 599万円 79%
第6級 1,296万円 498万円 67%
第7級 1,051万円 409万円 56%
第8級 819万円 324万円 45%
第9級 616万円 245万円 35%
第10級 461万円 187万円 27%
第11級 331万円 135万円 20%
第12級 224万円 93万円 14%
第13級 139万円 57万円 9%
第14級 75万円 32万円 5%

死亡による損害の支払基準

限度額は3,000万円となります。

死亡による損害は、葬儀費・逸失利益・慰謝料とされています。

葬儀費

葬儀費は原則60万円とされています。

但し、立証資料等により、60万円を超えることが明らかな場合には、100万円までの範囲で必要かつ妥当な実費が認められます。

逸失利益

死亡による損害における逸失利益は、被害者が死亡しなければ、将来得られたであろう収入額から、本人の生活費を控除して算定されます。

計算式は、
【基礎収入額×(1-本人の生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数】
となります。

※「就労可能年数」は、死亡時の年齢から67歳までの期間となります。

基礎収入額

死亡による損害の基礎収入の基準は以下のとおりです。

有職者

●原則・・・事故前一年間の収入額と死亡時の年齢の賃金センサス年齢別平均年収額のいずれか高い額

①35歳未満であって、事故前1年間の収入を立証できる者
・・・年収額か、賃金センサスの全年齢平均年収額か、年齢別年収額のいずれか高い額

②事故前1年間の収入額立証が困難な者
Ⅰ:35歳未満の場合
・・・賃金センサスの全年齢平均年収額か、年齢別年収額のいずれか高い額

Ⅱ:35歳以上の場合
・・・賃金センサスの年齢別年収額

③退職後一年を経過していない失業者
・・・上記基準を準用

幼児・児童・生徒・学生・家事従事者

賃金センサスの全年齢平均年収額。ただし、58歳以上の者で年齢別平均年収額が全年齢平均年収額を下回る場合、年齢別平均年収額

年金等受給者

年間収入額

その他働く意思と能力を有する者

賃金センサスの年齢別平均年収額。ただし、全年齢平均年収額を上限とする。

生活費控除の割合

  • 被扶養者がいる場合・・・35%
  • 被扶養者がいない場合・・・50%

慰謝料

本人の慰謝料

350万円

遺族(父母・配偶者・子)の慰謝料

  • 請求者1名の場合・・・550万円
  • 請求者2名の場合・・・650万円
  • 請求者3名以上の場合・・・750万円
  • 被害者に被扶養者がいる場合・・・200万円加算

では、次に自賠責保険の活用について解説いたします。

⇒自賠責保険の活用

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